公益社団法人 物理探査学会

会長挨拶

ご挨拶

公益社団法人 物理探査学会会長 
大熊茂雄(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

平成30年度総会において本会の会長に就任いたしました.大変光栄であるとともに,身の引き締まる思いで一杯です.今後2年間務めて参りますので,会員の皆様には,ご支援,ご鞭撻の程よろしくお願いいたします.

まずは過去2年間理事会を率いて学会運営にあたられた山中前会長や退任された理事の皆様の今までのご尽力に感謝いたします.山中前会長におかれましては,会誌群の見直し,研究会活動の促進,インドネシアでのEAGEと共同での物理探査セミナーの開催,創立70周年記念事業の実施など改革を通じて様々な成果を上げてこられました.今後山中前会長が築かれたこれら礎の元にさらなる活動を推進していく所存です.

さて,本会は1948年5月に発足し,今年で70周年を迎えた伝統ある学会です.70年の重みは大きく,戦後間まもなく社会情勢が不安定ななか諸先輩が関連他学会に先駆けて学会(発足時は物理探鉱技術協会)を創設されたことは特筆に値します.その後社会的要請の変化に応じて,現在の学会は「物理探査学の学理及びその応用に係る技術の進歩,普及,並びに物理探査に携わる技術者の資質の向上を図る」(定款)を目的とし,資源・エネルギーから土木・環境,農業,遺跡・文化財,地球科学などの様々な分野にまたがる技術者や研究者(会員)と関連法人・団体(賛助会員)から構成されています.

本学会の一番の特徴は,変化を先読みし必要に応じて新しいものを取り入れる進取の気風に富んだ学会運営がなされてきたことです.1980年1月には会の名称を物理探鉱技術協会から物理探査学会に,1986年には会誌名を「物理探鉱」から「物理探査」へと改名しています.また,2001年12月に文部科学省より社団法人の認可を,その後一般社団法人を経て,2013年5月には関連他学会に先駆けて公益社団法人として内閣府より認定を受けています.

現在,本会は浅部地下構造を主対象とするいわゆる土木・環境物理探査に係わる会員が多くを占める状況にあります.このようななか土木建設分野の設計・施工に重要な地盤物性評価に物理探査を適切に利用するため,近年統合物理探査調査研究委員会が組織され,物理探査学会70周年記念事業の一環として,成果報告書「統合物理探査による地盤物性評価と土木建設分野への適用」が作成・公開されるに至っています.

また,本会は早くから活発な国際交流活動を行っており,その活動基盤として関連国際学会との間に協力協定(MOU)を締結しており,現在では米国物理探査学会,欧州物理探査学会,オーストラリア物理探査学会,韓国物理探査学会,米国環境・土木物理探査学会,ベトナム地球物理学会,中国石油物理探査学会及びインドネシア物理探査学会の8学会とのMOUを締結しています.

特筆すべきはこのような国際交流を通じて,オーストラリア物理探査学会,韓国物理探査学会と本会とで英文誌(Exploration Geophysics)を共同出版していることです.現在学術成果はその善悪は別として,IF(Impact Factor)が付与されている雑誌に何報論文が掲載されているかで判断される傾向にあり,その点でIFが付与される英文誌を学会独自に持つメリットは計りしれません.会員の積極的な投稿が期待されるところです.

また,国際活動の一環として,1990年から国際シンポジウムを独自開催し,2018年11月には13回目のシンポジウムを迎えようとしています.国際学会の一部活動ではなく,本会が独自に開催する意義は学会のメッセージを直接発信する場として大きいと思われます.

さて,1919年に日本で物理探査が開始されてから来年で100周年を迎えます.この間,物理探査の適用分野は拡大し,昨今の学術講演会では,資源・エネルギー分野については地熱,海底熱水鉱床,メタンハイドレートなど,土木・環境分野については河川堤防,統合物理探査,地質災害,二酸化炭素の地下貯留などについて多くの発表があります.これらの社会的諸問題に対応するため,学会は技術の標準化や研鑽の場としての使命を負っているものと考えます.

また,学会は公益社団法人化後5年を迎え,その運営もようやく落ち着きを見せてきましたが,学会活動を通じてわが国の学術文化,並びに社会の発展に貢献,寄与できるよう引き続き健全な運営に努めていきたいと思います.

このような観点から,今期は以下について重点的に取り組みたいと考えています.

1) 学会誌「物理探査」の充実
和文誌の今日的役割を考慮し迅速性を高めた論文の掲載とJ-STAGEでの公開一元化を図り,研究成果の情報公開を促進します.

2) 研究集会(学術講演会,国際シンポジウム),研究会の充実
魅力ある研究集会の開催を企画し参加者数の増加を図ります.学会の人的資源に応じた開催の適正化・効率化を図ります.研究会活動を活発化させ研究集会との連携を図ります.

3) 学会情報の提供の充実
会員への情報伝達の手段として学会Webページを強化し,学会情報の提供を充実させます.

4) 若手人材の育成
アウトリーチ活動等を通じて一般社会での「物理探査」の認知性を高めるとともに,特に将来を担う若者の関心を喚起し,若手人材の育成を図ります.

5) 国内関連学会との連携強化
国内関連学会との連携を強化し,物理探査技術の普及と利用分野の拡大を図ります.

最後になりましたが,学会は引き続き会員サービスの充実に務めてまいりますが,その一方学会を運営するには,会員一人一人の力が必要となっています.会員の皆様の積極的な参加をお願いいたします.

2018年6月吉日

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